(18)投資信託のリスクとは何ですか?

こんにちは。

確定拠出年金相談ねっと 認定ファイナンシャル・プランナーの加藤博です。

 

 

40歳の企業経営者 いとう たけしさんは、確定拠出年金で積み立てをしながら運用して資産を増やしていきたいと考えています。

 

 

 

いとうさん、

赤のグラフと青のグラフは1月1日の価格と12月31日の価格が同じです。

この2つは同じ収益率(リターン)になります。

 

でも、実際の価格変動を見ると、まったく違いますね。

 

 

 

『価格のブレが違うのに同じ収益率(リターン)になっているっていうのは、注意ですよね

 

青のグラフの商品はブレの幅が大きいです。イヤですよね。

同じ収益率(リターン)だったら、絶対、赤がいいです!』

 

 

そうですね。私も赤を選びます。

 

前回、

『赤の投資信託は価格のブレ幅が小さいので、青と比べると安心感がありますね。

青の投資信託は価格のブレ幅が大きいので、不安な気持ちになるかと思います。

つまりリスクが高いと言えます。

この価格のブレ幅をリスクと言います。

リスクは投資信託を検討する上で、とても重要です。』

 

とお伝えしました。

 

次のグラフをみてください。

緑色の直線を引いてみました。

この緑色の直線が平均線と考えてださい。

 

 

 

青色のグラフは赤色と比較して、平均線から上下に大きく振れていますね。

この平均からの変動幅をブレ幅と言って、運用の世界ではリスクと呼んでいます。

 

リスクと言うと危険=デンジャー を想像しがち ですよね。

 

運用では、『リスク=平均から価格が上下に振れること』 と理解してください。

 

だから、損失(マイナス)のブレ幅だけでなくて、収益(プラス)のブレ幅もリスクと言います。

 

『収益もリスクって なんか 違和感ありますね~

ブレ幅が大きいのはイヤです。グラフみているとジェットコースター

に乗っている気分ですよ(笑)』

 

『収益率(リターン)よりも、このリスクのほうが重要ですね』

 


 

投資信託のリスクの算出方法は、以下のように計算します。

 

 

①ある期間のリターン=年率の収益率(リターン)をまず算出します。

 

②次に、年度ごとの収益率(リターン)と年率の収益率(リターン)との差

から計算して求めます。

 

例で見てみましょう。

10年間で以下のように価格が動いた投資信託で考えてみます。

 

 

まず 

 

10年間の年率の収益率(リターン)を計算します

10年後 20,000円 で 開始時 10,000円です。

 

年率の収益率(リターン)をa% とすると以下の計算式となります。

10,000円×(100%+a%)^10=20,000円 

 

^10  は  10乗という意味です。

 

10年間 a% 複利で増えていったということです。

aの値を計算するには、電卓では難しいので、Excelの関数を使います。

power関数を使って計算します。 計算すると a% は 7.18% になります(※)

 

次に

 

平均値=年率の収益率(リターン)と各年の収益率(リターン)の差分を計算します。

計算式は

 

各年収益率(リターン)-年率収益率(リターン)を2乗して、

10年間の合計値を出します。

 

 

 

 

合計値をデータの個数10で割った値がブレ幅の大きさを表す数字です。

合計/10の「406.76」が データのばらつきの大きさ」を表す数字です。

この値を「分散」といいます。

 

【各年収益率-年率収益率】2乗していますが、ブレ幅を測るためのルールと思って下さい。

そして最後に1/10していますが、全部で10年分のデータがあるので、1年分にしています。

 

分散は、ばらつきの大きさを表すのに数字ですが、

2乗したので元のデータと単位がそろっていないので、わかりにくいです。

したがって、平方根で元のデータと単位をそろえます。

 

√(分散)    √(406.76)=20.17  

これで単位がそろいました。

 

√(分散)を 標準偏差といいます。

 

投資信託のリスクは 標準偏差で表します。

 

リスク(標準偏差)は20.17% と記載します。

 

 


 

このように、投資信託のリスクは価格(基準価額)のブレ幅のことを言います。

 

年収益率(リターン)が同じでも、

ブレ幅が大きいとリスクが大きいことになります。

 

まとめ      リスクは以下の手順で計算します

 

①          平均値となる年収益率(リターン)を算出する

②          各年の(収益率-年収益率)の差の2乗を合計する  

③          ②の数値を年数(データの個数)で割ります 

     ⇒ この値が「分散」

④          分散を平方根で元データの単位と合わせます

     ⇒この値が「標準偏差」 リスク

 

リスクも収益率(リターン)も過去データの計算結果です。

 

過去の結果に過ぎず、将来を約束するものではありません。ただし、傾向値として、ひとつの判断材料となります。

 

いとうさん 計算が多くで難しかったですか?

 

『リスクを標準偏差 って言うのですね~。 偏差で聞くと、受験の偏差値をイメージします(笑)

 

計算式はややこしいですが、Excelがないとできなそうなので、そういうもの と考えておきます。

 

リスクは「平均リターンからのブレ幅をみる数字」で、とても重要なもと と理解しました』

 

次回は、標準偏差でよく使う「68%・95%」という一定ルールについて、お話ししますね。

 

 

10年間で2倍になっているので、72の法則でも概算がだせます。

72の法則とは「元本が2倍になるような年利と年数が簡易に求められる法則です。

 

年利(単位:%)×年数(単位:年) = 72

 

このケースだと

              a% × 10年         = 72

              a%                       = 72÷10

                                          =7.2%

7.18% ≒ 7.2%  ですね。

 

 

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