②「企業型確定拠出年金のメリット・デメリット」

確定拠出年金は企業年金制度として導入されている会社も増えてきており、「DC制度」、「401k制度」等の名称で呼ばれています。

前回は、その概要および、掛金自体の優遇メリットについて紹介しました。今回は、運用面でのメリット・デメリットなどについてご紹介していきます。

●確定拠出年金は運用益が全額非課税になる

運用益には税金が掛かるというのを、聞いたことがありますでしょうか。
通常、増えた金額に対して 20%の税金が掛かります。(今は、震災の復興税が加算されていて、20.315%ですが、ここでは計算しやすくするため20%でご説明します)

例えば、100,000円が1年後に110,000円に増えた場合、増えた10,000円に対して20%の税金がかかり、手取は108,000円となります。

毎年24万円(毎月の掛金2万円相当)を40歳から60歳までの20年間積立した場合、毎年、運用益に税金が掛かる場合と、税金が掛からない場合を比較してみましょう。

金利は年3%と仮定します。

毎年運用益に税金が掛かる場合

毎年運用益に税金が掛からない場合

 

20年後の受取金を比べると、差額は427,311円(6,642,357-6,215,046円)となっています。

税金がかからないだけで、約42万円も受取金が増えましたね。毎月の掛金を2万円とすると、21ヶ月分に相当します。

積立期間が長い人は、もっとメリットを享受できます。

30年間で比較すると、約114万円も差がでてきます。実に、57ヶ月分の掛金に相当します。

このように『積立期間中、運用益に税金が掛からない』こと、これが確定拠出年金の大きなメリットです。積立元本だけではなく運用益も減らずに運用に回るという事は、運用益を再投資できるということです。

運用益に税金が掛からない制度は「一般NISA(少額投資非課税制度)」や「つみたてNISA」がありますが、一般NISAの非課税期間は最大5年間、つみたてNISAの非課税期間は最大20年間となっています。

20年超で運用益が非課税となる制度は確定拠出年金だけです。

 

●据置期間、分割受取期間中も運用益は非課税となる

確定拠出年金は原則60歳まで積み立てますが、積み立てた金額は70歳までの間に受取開始すれば良いとされています。

たとえば、60歳から65歳までは運用を継続して、65歳時に一括受け取りするという選択も可能です。また、分割受取した場合、毎年、一定額を取り崩しながら、残った金額を非課税で運用することも可能です。

このように、確定拠出年金口座は「積立期間中」も「据置期間」も「分割受取期間中」も運用することができ、運用益は非課税となるというメリットがあります。これは確定拠出年金の大きな特徴です。

●運用商品は企業が指定した運営管理機関から自分に合ったものが選べる

確定拠出年金は自分で運用商品を選択します。運用商品は会社が契約している金融機関(運営管理機関)によって異なり、定期預金や投資信託の中から選べます。定期預金は元本が確保されていますが、今は低金利なので運用益は多く期待できません。

投資信託は値動きがある商品なので、元本は保証されておらず、元本割れするリスクがあります。一方、成長する国や企業に投資する投資信託を選んで、値上がりを期待するということが可能です。

世界の経済は長期的に緩やかに成長していきます。アジアやアフリカでは人口が増え、経済成長が続いていますし、先進国では技術革新による経済成長がすすんできています。このような視点から世界経済全体に投資する投資信託をえらんで、長期的な成長を期待するという考え方で運用する人が増えてきています。

自分で選択するのが面倒な人はデメリットに感じると思いますが、運用益の非課税メリットを大きく活用したいという人は、自分の好きな投資信託を選べるのはメリットになるでしょう。

●転職、退職後も確定拠出年金の口座は自分の資産として管理できる

転職や退職した時に、確定拠出年金の口座は自分の資産として持っていくことができます。「ポータビリティ制度」と呼ばれています。(運用期間が在籍期間が3年未満の場合は、会社によっては持ち運びできない場合があります)

転職先に企業型確定拠出年金があれば、その口座に残高を移します。制度がなければ、個人型確定拠出年金(iDeCo)の口座を開設して、残高を移せます。残高を移すことを「移換」と言います。

転職時や退職時に「自分の財産として」移換できるのは大きなメリットです。

移換時に現金化して、引き継ぐ確定拠出年金の口座に移します。投資信託で運用している場合、一旦売却して現金化しますので、元本割れしている状態の時に転職する場合など注意が必要です。

また、退職時に専業主婦(専業主夫)になる場合も、iDeCoに移換する必要があります。iDeCoで積立てを継続するかどうかは選択できますが、在職中の残高を退職時に現金で受け取る事はできず、60歳以降に受け取る事になります。

●60歳まで引き出せないという点にご注意

これは企業型確定拠出年金だけでなく、確定拠出年金全般に言えることですが、拠出した掛金は60歳以降にならないと引き出すことができません。このため、様々な事情でお金に困ることがあっても、確定拠出年金として積み立てているお金を使うということはできない点にご注意ください。

 

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