確定拠出年金の特別法人税の動向

こんにちは。

の加藤博です。

 

特別法人税の来年度以降の取扱についての時事通信の記事です。

 

 

「課税凍結、3年延長=年金積立金の運用環境悪化-政府・与党」

政府・与党は26日、2017年度税制改正で、企業年金などの積立金に対する特別法人税の課税凍結を3年間延長する方針を固めた。日銀のマイナス金利政策で資産運用に逆風が吹いていることに配慮した。17年度与党税制改正大綱に盛り込む。

 年金積立金への特別法人税は、資産残高に対して年1.173%を課すもので、1962年に導入された。99年からは低金利による運用難を踏まえて課税を凍結してきており、17年3月末がその期限となっていた。厚生労働省などは特別法人税の撤廃も求めていたが、これについては見送る方針だ。

 今年1月、日銀はマイナス金利政策の導入を決めた。長期金利の指標となる10年物国債の流通利回りは一時マイナスに落ち込み、足元でも0%近辺で推移している。こうした厳しい運用環境に加え、課税凍結を解除すれば年金財政に与える打撃が大きいと判断した。

 課税凍結の対象となるのは確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金など。(2016/11/26-15:04)

 

 

確定拠出年金には、特別法人税というものがあります。

 

今は、平成28年度末(平成29年3月)まで凍結されています。

 

実は、確定拠出年金が制度スタートした2011年から一度も課税されたことはありません。

 

特別法人税が復活すると、受け取り時に課税されることになります。


生保協会の平成29年度税制改正に関する要望の中に

特別法人税が課税された場合のシミュレーションが掲載されています。

 

P14  特別法人税が復活した場合の年金給付額試算 から 

 

 

【前提】(確定拠出年金の場合)

・毎月1万円を25年間積み立てて、10年間年金を受け取ると仮定

・運用利回りを2.5%とし、次の2ケースを試算

 

①のケース・・・積立金に対する課税がない場合

②のケース・・・積立金に対し1.2%の課税が行われる場合

 

①          積立金に対する課税がない場合       年金月額3.9万円

②          積立金に対し、1.2%の課税が行われる場合 年金月額3.13万円

 

特別法人税が復活すると、25年間の積立では年金給付額に換算して

年金月額3.9万円→年金月額3.13万円に削減→ 20%もの削減

 

上記の試算によれば、年金月額が20%削減されることになります。

 

 


 

そもそも「特別法人税」とは何でしょうか?

 

特別法人税は、企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金)の積立金(拠出金+運用益)に対して、年率1.173%(国税1%、地方税0.173%)を課税するものです。

企業型および個人型の給付時に課税されるというルールになっています。

 

日本経済のバブル崩壊により、企業年金の運用環境が悪化したため、1999年から課税凍結されました。

繰り返し課税凍結が延長されて、平成29年3月末までの凍結が決定されています。

日本証券業協会、銀行協会や生保協会などの金融機関の団体からは課税復活の可能性がある凍結ではなく、完全廃止が都度要望されてきました。

 

今年も要望書にも盛り込まれていました。

 

また、本年5月に成立した確定拠出年金法改正において、参議院の附帯決議に特別法人税の廃止が盛り込まれています。

 

 

 

確定拠出年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

平成二十八年四月十四日

参議院厚生労働委員会

(抜粋)

 

“平成二十八年度末までの間、停止措置がなされている運用時における企業年金積立金に対する特別法人税の課税について、給付時との二重課税防止の観点から、廃止について検討を行うこと”

 

 

厚生労働省は2017年年度の税制改正で、特別法人税廃止を財務省に要望するとされていましが、再延長の方向のようです。

 

個人型確定拠出年金(iDeCo イデコ)にも、現行ルールだと、特別法人税が課税されることになります。

 

確定拠出年金制度の拡充の足かせとなる「特別法人税」は凍結延長ではなく、制度廃止となることを強く希望します。

 


 

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