(19)標準偏差(リスク)の68%とは何?

こんにちは。
確定拠出年金相談ねっと 認定ファイナンシャル・プランナーの加藤博です。
40歳の企業経営者 いとう たけしさんは、確定拠出年金で積み立てをしながら運用して資産を増やしていきたいと考えています。
収益率(リターン)とリスクについて、勉強中です。
いとうさん、
投資信託の年収益率(リターン)とリスクについては理解できましたか?
『うーん。 ちょっと難しかったですけど・・・ 』
『まず、1年あたりの収益率(リターン)を計算して
各年の収益率と差を集計して、ブレ幅の大きさを計算するんですよね。
各年の収益率はプラスもマイナスもあるので、差の大きさは絶対値をつかう。
2乗すれば、必ずプラスなるので差の2乗の合計値の大きさがブレ幅の大きさとなるんですよね?
この合計値が分散で、分散を元データと単位をそろえるために、平方根で戻す。
この数字が標準偏差で、標準偏差をリスクと呼ぶんですね。』
そうです。2乗したり平方根でもどしたりして、ややこしくみえますが、
要は 平均値 【年換算した収益率】との差の大きさをだすための計算式です。
意味がわかればOKですよ。
投資信託Aと投資信託Bのグラフをみてください。
緑色の直線が平均値=10年間の収益率です。
AとBのグラフを比較すると、AはBより平均からのブレ幅が大きいですね。
標準偏差の数字もA>Bとなっています。
AとBは 10年間の年収益率(リターン)は7.18%ですが、10年間の価格のブレ方は違います。
標準偏差(リスク)が小さい投資信託Bのほうを選びたいですよね。
このように、投資信託を評価するうえでは、収益率(リターン)だけではなく、標準偏差(リスク)も確認する必要があります。
この標準偏差には、一定の規則性があります。
よく使われている「規則性」ですから、是非、覚えて下さいね。
データの確率分布が正規分布と呼ばれる下図のような形をしていた場合
「平均-標準偏差」~「平均+標準偏差」内にデータが含まれる確率が約68%になる
ということが分かっています。
図 ウィキペディア より
中心値で左右対称の図を「正規分布」と呼びます。
事象が発生する確率の分布図です。
標準偏差を σ(シグマ)という記号で表記しています。
中心から-1σ の範囲が 34.1%
中心から 1σ の範囲が 34.1%
-1σ から 1σ範囲が 34.1%+34.1%=68.2% となっていますね。
投資信託AとBでみてみましょう。
「平均-標準偏差」~「平均+標準偏差」内にデータが含まれる確率が約68%
投資信託Aのリターンは68%の確率で -12.99% ~ 27.35% の範囲にはいるということになります。
平均=10年間収益率(リターン) 7.18%
標準偏差(リスク)=20.17%
7.18-20.17=-12.99%
7.18+20.17= 27.35%
投資信託Bのリターンは68%の確率で -2.74% ~ 17.10% の範囲にはいる
ということになります。
平均=10年間収益率(リターン) 7.18%
標準偏差(リスク)=9.92%
7.18-9.92=-2.74%
7.18+9.92= 17.10%
このように、約68%の確率でリターンの範囲を算出することができます。
いとうさん
ちょっと複雑になりましたが、リスクの考え方はご理解頂けましたでしょうか?
『約68%の確率で、収益率(リターン)±リスクの範囲に
収まるってことでね』
『リスクの小さな投資信託を選んでいきたいですね』
投資信託Bは
10年間で期待できる収益率(リターン)は7.18%ですが、7.18%から上に9.92%の17.10%、下に9.92%の-2.74%にぶれる確率は統計的に約68%であるということになります。
さらに考えてみると
17.10%を上回る確率と-2.74%を下回る確率は
「100%-68.2%=31.8%」です。
左右対称ですから、-2.74%を下回る確率は31.8%÷2=15.9%となります。
したがって、-2.74%以上となる確率は 100%-15.9%=84.1%となります。
このように考えれば、
投資信託Bは「約84%の確率で収益率(リターン)は-2.74%以上になる」
となります。
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