⑤企業型DC「iDeCoやNISAと同時加入はできる?」


企業型確定拠出年金シリーズの第5回目はiDeCoやNISAとの関係についてご紹介していきます。
企業型DCとiDeCo、NISAは併用できるの?条件は?
iDeCoとの関係→条件次第では併用できる!
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の愛称で、2016年5月の改正DC法により、個人型確定拠出年金は加入者範囲が拡大されました。改正前までは、自営業者(国民年金第1号被保険者)や企業年金制度のない会社員に加入者が限られていましたが、公務員や専業主婦等(国民年金第3号被保険者)、企業年金制度のある会社員も加入できるようになりました。
iDeCoは掛金の限度額が法令で定められています。企業年金制度のない会社員の場合は、月額23,000円(年額276,000円)が上限です。企業年金制度にすでに加入している会社員の場合は、加入している制度によって、上限が異なります。
①確定給付企業年金や厚生年金基金などの企業年金に加入している場合の限度額
月額12,000円(年額144,000円)
②企業型確定拠出年金に加入している場合の限度額
マッチング拠出制度がある場合
iDeCo加入はできません。マッチング拠出を利用します。
マッチング拠出制度がない場合
月額20,000円(年額240,000円)※
※企業型確定拠出年金の拠出限度額が年24万円引き下げされます。会社側での変更手続が必要な場合がありますので、事前に確認が必要です。
③企業型確定拠出年金と確定給付企業年金を併用している場合の限度額
マッチング拠出制度がある場合
iDeCo加入はできません。マッチング拠出を利用します。
マッチング拠出制度がない場合
月12,000円(年額144,000円)※
※企業型確定拠出年金の拠出限度額が年14.4万円引き下げされます。会社側での変更手続が必要な場合がありますので、事前に確認が必要です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)加入限度額一覧

2019年7月29日 日経新聞の記事から
厚生労働省はiDeCo併用のルールを緩和する方向で検討しているようです。
イデコ加入 全会社員に 厚労省、企業型年金と併用可能
厚労省は社員がイデコに加入する場合でも、企業型の掛け金の上限額を下げない方向で制度を見直す。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)で議論し、財務省や与党と調整を進める。20年度の税制改正要望に盛り込み、20年の通常国会に関連法の改正案提出をめざす。
企業型とイデコが併用できるようになれば、会社員にとっての利点は大きい。例えば入社間もない若手社員では、企業型の掛け金は月数千円にとどまることもある。イデコを併用すれば最大月2万円まで追加で積み立てることが可能になる。
NISAとの関係→誰でも併用加入可能!
NISA(少額投資非課税制度)は、2018年1月から「つみたてNISA」が追加となり、従来制度とどちらかを選んで利用可能となりました。
NISAもつみたてNISAも運用益に対して課税されないという税制優遇制度です。企業型確定拠出年金の加入者や確定給付型年金の加入者であっても、iDeCoのような加入制限はありません。

併用する場合の注意点は?
iDeCoやつみたてNISAで積み立てする場合
iDeCoもNISAも税制優遇のある制度ですので、併用して節税効果を最大限利用したいと思いがちですが、注意点があります。
生活費が不足しない程度に掛金を設定して運用する
いくら税制優遇のある制度だからといって、毎月の生活費が不足するような状態に陥り、キャッシング借入や、クレジットカードのリボ払いを利用して金利を支払ったら、税制優遇を超える不要な支出となる場合があります。
ボーナス時にまとめて利用することも可能です。
なお、iDeCoは60才まで積み立てし、60才以降に受け取るのが原則です。掛金を途中で中断することは可能ですが、受け取りは60才までできませんので、一時的にまとまったお金が必要なときに引き出すことはできません。あくまでも老後資産形成専用の制度として利用しましょう。
通常の投資信託や保険との併用と比較してどうか?
iDeCoで投資できる商品は金融機関(運営管理機関)によって異なりますが、元本確保型の定期預金や保険の金利はどの金融機関でもほぼ同水準(低金利)です。
投資信託は保有期間中にかかる手数料の信託報酬が商品によって違いますが、信託報酬が低い商品を多く取り揃える金融機関が増えてきています。同じ投資信託であっても、一般の商品よりiDeCoの方が、信託報酬が低く設定されている投資信託もあります。
つみたてNISAの投資対象は金融庁が定めた基準を満たす投資信託・ETFとなっています。
金融庁が商品を選ぶ基準は「低コスト」に比重を置いていますので、一般の投資信託よりも、信託報酬が低い商品構成となっています。
また、iDeCoもつみたてNISAも販売手数料ゼロ(ノーロード型)となっていますので、販売手数料が無く、通常よりも信託報酬の低い投資信託を選ぶことができるといえるでしょう。
併用している状態で退職したらどうなる?
iDeCoを併用している場合
①専業主婦等(国民年金第三号被保険者)になる場合
企業型確定拠出年金の残高をiDeCoに移換し、運用を継続します。
掛金の上限は月額23,000円(年額276,000円)となります。
②企業年金制度がない会社へ転職する場合
企業型確定拠出年金の残高をiDeCoに移換し、運用を継続します。
掛金の上限は月額23,000円(年額276,000円)となります。
③企業年金制度がある会社へ転職する場合
転職先でiDeCo加入を認めていない場合は、iDeCoでの積立継続はできません。
今まで積み立てた金額の運用のみを継続していきます。(運用指図者といいます)
なお、企業型確定拠出年金の残高は、転職先の確定拠出年金へ移換して運用、積立を継続します。
NISAを併用している場合
退職・転職に伴う影響はありませんので、変更手続き等も発生しません。
長く積立することを考えて掛金を設定する
つみたて投資は「早く始めて長く続ける」ことがポイントです。
「節税できるから」と言って、途中でやめてしまうような無理な金額で掛金を設定することはやめましょう。
確定拠出年金もNISAも継続することを最重点に考えて利用しましょう。
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